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熱・電力管理のための
サーマルCu
ピラーバンプ

[2008年05月号]

電子機器内の必要なところで、必要なときに適切な冷却を行うため、新しい熱電管理方法ではサーマルCuピラーバンプを用いたものが提案されている。


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Phil Deane
米Nextreme社
www.nextreme.com

 どんなデバイスの能動的な冷却においても、熱源に最も近いところが最も効率的となる。今日、最先端のCPUとGPUはどれもフリップチップ実装されており、はんだバンプはチップの活性面に直接置かれている。新しい方法では、熱的に活性な材料をそれらのはんだバンプ、特にCuピラーバンプに統合する。性能係数(COP:Coefficient of Performance)、つまり、送り込まれる電力のヒートポンプに供給される電力に対する比は、熱電材料がパッケージ内に置かれると通常約1だが、はんだバンプ内に置かれると4や6、そして8に達することがある。これは、非常に頭の痛い問題に対する、魅力的な解決策になるだろう。

電力/熱/効率のトレードオフ
 過去の電力傾向の予想を考察すると、20GHzのチップは約1kWの電力を消費・発電する。ラップトップ、PC、あるいはサーバー環境でさえ、この電力レベルを維持することは単純に言っても不可能だ。さらに重要なのは、チップ電力が増えると、チップ周辺の電力の不均一性も拡大する。表面の電力プロファイルは、チップの最大電力密度と最高温度レベルを山頂に見立てた山脈のようだ。低電力チップ(35W 米Intel社「Core Duo」)のプロファイルはゆるやかな丘陵のようだし、高電力チップ(120W以上)のそれはヒマラヤ山脈に似ているかもしれない。

 残念ながら、これらの山頂はチップの他の部分より温度が高く、潜在的に不具合が起こりやすい地点を表している。回路がピーク電力点で不具合を起こすと、チップ全体が機能しない。これら電力の不均一性はシステム全体のあらゆるレベルで起きる。この問題に直接的な対応ができなければ、システムレベルのあらゆる非効率の原因になるのだ。

 標準的な回路基板では、高平均電力のチップもあれば低平均電力のチップもある。その結果、熱不均一性の第2段階が基板上で起きる。やはり、回路密度が上がると、全体的な電力レベルが上がり、環境条件はより厳しくなる。そして、これら不均一性はより困難な問題となり、コンピュータの調子に悪影響を及ぼす。

 電子機器の電力と熱の不均一性問題は常に増加しているが、それに対する効果的な熱
管理ソリューションは限られている。PCを均一に冷却するために送風機などを使うことはできるが、熱プロファイルが不均一な場合、デフォルト設定で特定のチップの冷却が不十分になったり過剰になったりしてしまう。冷却が不十分だと特定のチップが過熱するので、初期故障や非効率性の内在につながる。例えば、サーバーボード上のパワーMOSFETはCPUと同じ冷却レベルではない。その結果、パワーMOSFETは過熱してさらなる熱を発生させ、ボード上での効率が極めて悪くなる。そこで代わりに過剰冷却をすると、それは通常機器にとってはいいことだが、システムレベルの効率が大変悪くなって、許容できないほどのエネルギー消費につながる。

 業界はこれらの問題に対応するため、(たとえばCPUやGPUの高出力領域から熱を取り
除く)ヒートパイプ、そして送風機や放熱板というソリューションを提供してきた。それにより最高出力のデバイスに対して局所化された熱管理を行うことができる。これらのソリューションはチップから出る平均的な熱電力には有効だが、チップ内の熱不均一性には対応できない。そして、たとえソリューションが効率的でも、2つの点から拡張性がない。まず、それらはボルト締めされており、チップセット全体に拡張できない。2つ目は、最先端チップの電力レベルに対応できるほど拡張されないということだ。(通常のチップ上で5°Cだけ余分に冷却を行うには、2〜4倍の放熱板サイズを必要とする)。

新しいアプローチ

図1 単一基板上に取り付けられたサーマルバンプと電気バンプ

 我々は電子機器内の必要なところで、必要なときに適切な冷却を行うことに焦点を当てた、電子的な熱管理という新しい方法を開発した。これは、システムから熱を取り除くために今でも必要なシステムレベルの冷却に取って代わるものではない。むしろ、チップや基板レベルで熱均一性を達成する、根本的に新しい方法を導入するものだ。この方法を使えば、システムレベルの熱管理もより効率的になるだろう。これらのソリューションはシステムの大きさによって拡大もしくは縮小し(大きいシステムには大きい送風機)、この新しい方法はチップレベルで適用される。

 この新しい方法では、フリップチップ実装をするはんだバンプに薄膜熱電材料を取り付ける。これによりチップ表面で能動的な熱管理、つまり発電を行うことができ、既に業界に受け入れられた製造方法を使うことで均一性を約束する。電気経路とメカ構造の従来のはんだバンプと違って、「サーマルバンプ」はミクロレベルで固体ヒートポンプとして機能する。

 電流が流れると、各バンプで熱電冷却(TEC:Thermoelectric Cooing)が起きる。言い換えれば、材料に電流が流されると、サーマルバンプが片側を冷却し、もう片側に熱を伝える。これはペルチェ効果として知られている。

 一方、熱電発電(TEG:Thermo-electric Power Generation)はサーマルバンプが温度勾配にさらされる(すなわち、上側は下側より熱い)とき起きる。この場合、デバイスが電流をつくり、熱を電気に変換する。これはゼーベック効果と呼ばれている。

 サーマルバンプは標準的なフリップチッププロセスの一部として統合できる(図1)。この機能性が設計と製造インフラに統合されるので、チップには(電力、アース、信号用)電気バンプと(冷却、温度制御、電荷による発電用)サーマルバンプが組み合わせられるだろう。このようにして、サーマルバンプはエレクトロニクス製品の設計に新たな機能性をもたらす。現在、トランジスタ、レジスタ、キャパシタが標準的な回路設計に統合されているのと同じ方法で、将来、回路に熱管理を設計することが可能になるだろう。


Cuピラーはんだバンプ
 最近の高集積配線への傾向がCuピラーはんだバンプ(CPB:Cu Pillar Solder Bumps)の開発につながった。1) CPBはいくつかの点で従来のはんだバンプに代わる魅力的な技術だ。まず1つ目は、CPBのピッチは大量のはんだではなく、むしろ、めっきが施されたCuピラーの大きさに影響される、という点である。よって、全部はんだでできているバンプに従来見られていたものよりずっと小さいピッチが可能となる。2つ目は、配線の大部分がCuのため、バンプ形成に必要なはんだの量が大幅に削減される、という点。Pbベースのはんだの場合、Pbの量が減ることになるので、環境面(RoHS準拠)からも重要だ。3つ目は、Cuはほとんどの2成分あるいは3成分のはんだより熱伝導性が極めて高い、という点である。たとえば、共晶SnPb(63%Sn、37%Pb)の熱伝導性が約40W/mKなのに対し、Cuは386W/mKである。つまり、CPBは同じサイズの従来のはんだバンプより伝導熱輸送が10倍向上する。4つ目、Cuピラーはリフロー中に形状が変化しないので、寄生抵抗を増加させ信頼性を損なうような、はんだバンプのボイド(欠陥)につながりうる、容量の再分布の影響を受けにくい、という点だ。

薄膜熱電技術

 薄膜熱電は、従来のバルクペレット熱電製品のキャパシタを大きく上回る、高いヒートポンプ能力を持つことが実証された。2)熱電製造に使われる厚いバルク材料に対する薄膜のメリットは以下のように表される。



 この式はQmax(熱電モジュールから送られた最大熱)が膜厚Lに反比例していることを示している。このように、薄膜で製造された熱電クーラー(TEC)は、特定の活性面Aにおいて10〜40倍高いQmax量を容易に達成することができる。よって薄膜TECは、高い熱流束を伴うアプリケーションに適している。ヒートポンプ能力の向上に加え、薄膜を使用することで、熱電デバイスの真に新しい実装が可能となる。厚さ1〜3mmのバルクモジュールの代わりに薄膜TECだと膜厚100µm以下に作ることができる。その最もシンプルな形では、p型あるいはn型の脚部のような熱電対(すべての熱電素子の基本成分)は、上と下にはんだ層を持つ薄膜熱電材料の層で、電気トレースと電気的・熱的に結合する。


サーマルCuピラーバンプ

図2 サーマルCuピラーバンプの断面図

 サーマルCuピラーバンプ(TCPB)(図2)は、既存のフリップチップ製造インフラと互換性があり、従来のはんだバンプ配線が使用できる。広く受け入れられているCPBプロセスを使って、フリップチップ実装部品を能動的に統合された形で冷却するものだ。また、このプロセス向上によって、エネルギーリサイクル・アプリケーションのCPB内で発電が可能になる。

 この技術ではオンチップの熱と電力の問題に根本的に取り組んでいる。例えると、台所のクッキングヒーターの素子が過熱する問題を抱えた家のようなものだ。クッキングヒーター上面の温度を保つために家全体をエアコンで冷やすより、局所的に直接、過熱している素子を冷やす方が格段に効率的だろう。TCPBは電子回路に対し、ちょうどこの方法を利用できる。そうすると、すべて既存の半導体製造の枠組み内で、システムレベルの冷却をしなくても、高い性能と効率を達成する。

 この熱活性したCPBはすでにいくつかの世界初を実証している。たとえば、高さ60μmのTCPBに電流を流すことで、そのTCPBの周りに60℃の温度差を達成した。また、TCPBは最大で150 W/cm2を超す放熱能力を実証した。そして、熱にさらされたとき、TCPBは1バンプあたり最高で10mWの発電能力があることを示した。


サーマルCuピラーバンプの構造

図3 従来のCPB とp型/n型のピラーバンプを示した図。p型とn型のバンプは一緒にP/Nカップルを構成し、電気的に順次接続されると、ペルチェ冷却またはゼーベック発電を行う

 図2の熱電対SEM断面図は、熱電素子が、積層された追加的な熱電層1層を持つCPBと構造的に同じであることをはっきりと示している。熱電層が追加されると、標準的なCPBが活性化されたTCPBに変わる。この熱電素子が電子的・熱的に適切に設定されると、バンプの片方からもう片方へ熱が伝達される。熱の移動方向は、(n型半導体であれp型半導体であれ)熱電材料のドーピングタイプと材料を流れるときの電流の方向によって決まる(ペルチェ効果)。3)逆に、熱電材料の片方からもう片方へ熱が伝わることができれば、材料中で電流を起こすだろう(ゼーベック効果)。この方法で、熱電素子中の熱の流れから発電される。図2で示す構造は、同時ではないが、ペルチェモードとゼーベックモードの両方で機能する。

 図3は標準的なCPBと薄膜TCPBの構造を比較したものである。どちらもCPBとはんだが接続された、似たような構造である。この2つの構造で最も大きな違いは、2つのはんだ層間にp型又はn型の熱電層が導入されていることだ。CPBとTCPBに使われるはんだは、共晶SnPb、SnAg、AuSnなど一般的に使用されるはんだであり、またそれらに限定もされない。

 図4にTCPBの拡大図を示す。この設計の追加的特質がいくつか描かれている。まず、デバイス中の熱フローは「熱」と表示された矢印で示されている。チップ上のメタルトレースはTCPBを通る熱フローの役に立っているかもしれない。厚さ数µmで相互にかみ合うように積層できるこれらのトレースは、下層の回路から熱を集めてTCPBに流す、非常に伝導性のある経路になる。

 図4に示したTCPBに電流を流すメタルトレースは、チップ回路に直接接続されていることもあれば、そうでないこともあるだろう。どちらにしろ、基板上の温度センサーとドライバ回路を使い、性能最適化のため、クローズドループ方式でTCPBを制御する。2つ目、TCPBで送り込まれた熱と、熱を送り込む過程でTCPBが発生させた追加的な熱は、基板で遮断される。その遮断された熱に適切な熱経路を与えることでTCPBの性能が向上するので、TCPBの裏面に熱伝導性の高い経路を備えることは有益である。基板は、絶縁膜を備えた、AlNやメタル(すなわちCu、CuW、CuMoなど)のような熱伝導性の高いものかもしれない。この場合、高い熱伝導性を持つ基板が遮断された熱を自然に放熱させるだろう。また、基板は、高密度配線をするため設計された、プリント回路基板(PCB)のような、多層基板かもしれない。この場合、PCBの熱伝導性は比較的低いかもしれず、ビア(すなわちメタルプラグ)を追加すると、遮断された熱を放熱する絶好の経路になる可能性がある。



図4 この拡大図はTCPBを通る熱フローを示す。また、複雑なICにしばしば使われる多層メタルトレースも示す。これらのメタル層は広い領域から熱を集めTCPBに送り込み、回路の熱的集中抵抗を下げるのに役立つ。PCBのサーマルビアは熱遮断を向上させるためである


アプリケーション
 TCPBはCPBと構造が似ており、従来のCPB製造に使われるプロセス技術と同程度のものを使うので、TCPBは既存のCPBベースのプロセスにすぐ統合できる。

 TCPBは以下のようないくつか異なる方法でチップ冷却に使用できる。

• 標準的な冷却 — 冷却効果を均一にするため、TCPBはチップ表面に均一に配置される。この場合、TCPBは、信号、電力、アース用に使われる標準的なCPBに組み入れられるかもしれない。そうすると、最大の効果を得るため、チップの能動回路の直下にTCPBを置くことができるようになる。TCPBの数と密度はチップからの熱負荷による。各P/Nカップルは、特定の温度差(T)と特定の電流において、特定のヒートポンプ(Q)をもたらす。チップ上の温度センサー(「オンボード」センサー)はTCPB性能の直接測定とTEC駆動回路へのフィードバックを行う。

• 正確な温度制御 — TCPBは電流の方向によってチップを冷却も加熱もできるので、環境条件に関係なく特定の温度レンジ内で作動しなければならないチップの正確な温度制御に使うことができる。たとえば、これは多くのオプトエレクトロニクス部品にとって共通の問題だ。

• ホットスポット冷却 — マイクロプロセッサ、GPU、その他ハイエンドチップでは、電力密度がチップ面によって大きく変化するので、ホットスポットができる可能性がある。そのようなホットスポットはデバイス性能を著しく制限する恐れがある。TCPBはサイズが小さく、チップの活性面でTCPBが置かれるところは比較的密度が高いので、これらの構造はホットスポットの冷却に好適だ。そのような場合、TCPBを均一に分布する必要はないかもしれない。むしろ、TCPBはホットスポット領域に集中させて、熱密度が低い領域では単位面積当たりのTCPBの数を少なくするだろう。このようにTCPBによる冷却は必要なところだけに適用され、よって冷却器を駆動させるために必要な追加的電力を削減し、システムに関する全体的な熱のオーバーヘッドを下げることになる。

 チップ冷却に加え、TCPBは、常に安定した電源を提供するための高熱流束の配線に応用可能だ。そのような電源は、通常mWの範囲内であり、ワイヤレスセンサーネットワークのトリクル充電電池やその他電池で作動するシステムにとって理想的である。

参考文献
1. J. Kloeser et al, “High-Performance Flip-Chip Packages With Copper Pillar Bumping,” Global SMT & Packaging, May 2006.
2. G.J. Synder et al., “Hot Spot Cooling Using Em- bedded Thermoelectric Coolers,” Proc. 22nd IEEE Semi-Therm Symposium, 2006.
3. D.M. Rowe, ed., CRC Handbook of Thermoelec- tronics. Boca Raton, CRC Press, 1994.

Phil Deaneは、米Nextreme Thermal Solutions社のシニアテクノロジーフェロー。電気配線技術、半導体プロセス、パッケージ開発の分野で25年以上の経験を有す。米ノースカロライナ大学で物理の博士号、理学修士号、文学士号を取得。



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