MEMS Innovator

ウェーハレベル
パッケージで一変する
MOEMSとMEMS

[2008年07月号]

真のウェーハレベルパッケージは、MOEMS/MEMSの生産コストを劇的に低減する。MOEMSパッケージは、従来のMEMSパッケージの要求に加えて、個々のセンサーとアクチュエータの動作波長で光透過性が要求されることになる。


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Herwig Kirchberger
オーストリー EV Group社
www.evgroup.com


300mmウェーハでのボンディング技術は、MEMSと3次元配線を持つ民生用製品のウェーハボンディング用に設計された

 マイクロマシン(MEMS:Micro Electro Mechanical System)デバイスのパッケージコストは、全体のコストの半分以上をまだ占めている。ウェーハレベルパッケージ(WLP)の整列ウェーハボンディング技術は、パッケージを小型化することでコストを低減でき、性能を改善し、短納期を実現できる可能性を持つ。

 MEMSデバイスの種類、その機能と動作環境がパッケージングの要求項目を規定する。先端パッケージングのコストの低減と標準化に関するイノベーションは、MEMSの短期間の商品化にとって重要である。今後5年間、MEMSデバイスは13% の年平均成長率(CAGR)が予測されていて、民生用アプリケーションのデバイスによってこれは推進される。そしてパッケージングのイノベーションの度合により、これは上下に振れるであろう。

 精密なMEMS構造を効果的に封入するため、第2ウェーハにボンディングするMEMSデバイスでは、一般的にデバイス側のウェーハに特別な製造プロセスが必要だ。この方式は、ゼロレベルパッケージングと呼ばれ、MEMSは真空もしくは不活性ガス雰囲気内で自由に動く。ボンディング部は、湿気による汚染そして微細構造部の不良防止のため密封されている。MEMSデバイスはパッケージによる感度の問題が発生することがある。デバイス性能は、パッケージ材料からダイ本体に加えられる応力により影響を受ける。新規のMEMSデバイスは、将来に渡ってデバイス特有のパッケージが必要とされる。もちろん、デバイス不良を起こす腐食、湿気、デブリからMEMSパッケージを保護することは重要なことである。  

 WLPのウェーハボンディングは、全パッケージングのプロセスをウェーハレベルで行う。過去数年間にわたってWLPの基盤技術が提供されているが(ウェーハレベル・キャッピング)、既存のパッケージが市場の要求を満たしているため、まだこの技術は使われていない。継続的な形状寸法の低減要求がある時、また従来のCSPパッケージがコスト目標に到達しない時、WLPは選択肢の一つである。今日において、MEMSを製造する多くの企業はチップレベルパッケージングから遠ざかっている。多くの民生用デバイスに対して、パッケージコストの低減で最も有効な手段は、全体のデバイスコストを減らすことである。チップレベルパッケージングではWLPのような画期的な製造上のイノベーションが、巨大で強大な競争力を生み出す。

光マイクロマシン(MOEMS)
 最も成長率が高いMEMSマーケットのセグメントに焦点を合わせると、光マイクロマシン(MOEMS)がよく知られていて、革新的なパッケージング技術が最終デバイスのコストと最終製品の商品化に多大な影響を与えている。MOEMS市場は、主にDMD(Digital Mirror Device)によって推進されており、全体のMEMSデバイスの売り上げのほぼ1/3を占める。WLPに関して、MOEMSのパッケージは電気的内部接続性、密封封入、微小な汚染からの保護、機械的応力の低減、吸着性の排除等のMEMSパッケージにおける従来からの要求に加えて、個別センサーとアクチュエータの動作波長での光透過性が要求される。  

 今日、もっとも広くマーケットに採用されているのは、100万以上もの微小な移動ミラーをもつDMDチップである。選択されたミラーは、焦点の合った部品の内外に光を反射する。DMDは頂点にねじれスプリングが取り付けられていて、16ミリ秒以下で2値の確定状態(−10°/+10°)の間をミラーが静電駆動で傾く。3個のDMDアレイを色だしに使用し、この高速なスイッチングでエミュレートすることにより灰色が出る。表面を機械加工した複数のアルミ層を使ったMEMSミラーは、特定のCMOS回路上に作られる。低ストレスのねじりヒンジの成膜とランディングパッドの配置が最も重要である。犠牲材料は有機物であり酸化膜プラズマエッチングプロセスによって除去される。主な故障メカニズムとしては表面の汚染とメタルクリープによるヒンジの不良がある。

 MOEMSデバイスのパッケージングの要求に対して対処しなければならない、DMDの機能に影響を与えるこれらの検討材料を感度と複雑度において実証した。

ウェーハボンディング技術

図1 ウェーハボンディングはゼロと第1レベルのパッケージングを可能にする。ゼロレベルでは、MEMSデバイスは真空もしくは不活性の雰囲気内で稼働することができる

 ウェーハボンディングは、応力分離と管理雰囲気下の封入に対して、ゼロ及び第1レベルのパッケージングに使用される(図1)。例えばSi貫通ビア(TSV)のような配線技術の使用により、ゼロ及び第1レベルが接合されている。デバイスのボンディングと電気的な配線は、特別な電気伝導中間層を使うことで実現できる。 

 各デバイスのレイヤーを積層することにより、高度な集積化がうまく実現できる。MEMSデバイスのウェーハキャッピングと比較すると、ウェーハボンディングは新規の確立されたバックエンド技法を持つパッケージングの分野で、コスト的に競合しなければならない。WLPのウェーハボンディングの成功にはいくつかの重要な点がある

 R&Dから量産へのプロセス移行 −− 家庭用電化製品はたった数か月の短い製品寿命のため、プロセスの研究開発から量産への順調な移行が必須である。

 キャパシティの増強 −− 多くの場合、特有のパッケージングプロセスは一つの製品から他の似たデバイスに適用される。ウェーハボンディングのプラットフォームは、キャパシティ増強に簡単に便宜を図れるような設計にするべきである。家庭用電化製品では、半導体の寿命が桁違いに長い。一般的なボンドチャンバは、追加の設備投資なしで異なったウェーハボンディングのプロセスに転換できる十分な柔軟性を持つ。

 プロセスの標準化 −− プロセス開発と認定作業のコストをできるだけ少なくするため、各プロセス工程は標準化することが望ましい。新しいウェーハ to ウェーハのアライメント技術が、個別のウェーハの材料、寸法、特性を標準化することで実現した。

 歩留まり向上 −− 多くのウェーハボンディングプロセスは、ウェーハの表面状態に敏感である。高い歩留りを持つ製造プロセスを達成するためには、表面特性を可能な限り厳重に管理する必要がある。ウェーハボンディングの重要な前工程は、洗浄、プラズマ活性化、接着剤層への塗布があげられる。ウェーハボンディングの前工程プロセスの集積化が、リアルタイムのプロセス管理を可能にする。プロセスフローの正確な時間調整により、ボンディングプロセス時間はキャパシティとスループットを上げるために最適化が図られる。


共通的で永続的な
ウェーハボンディング技術

表 ウェーハボンディングのプロセスパラメータ

 もっとも共通的で永続的なウェーハボンディング技術を、光透過性MOEMSのWLPにおいて検討評価する()。

 陽極ボンディング −− 陽極ボンディングはパッケージング方式のなかで最も広く使われている。電界はボンド界面を通過するイオンの熱拡散を促進し、透明ガラスとSiの固体溶解が行われる。陽極ボンドは、透明性ガラスの蓋に対してMOEMSではごく普通に行われる。この種のボンディングはMEMSパッケージングの主力方式で、全てのパッケージングのアプリケーションの大多数を占める。ウェーハ固定方式の進歩とチャック上下の個別熱プロセスが、全てのウェーハプロセス中のサブミクロンの位置合わせを維持する上で、そして熱膨張を管理する上で重要である。  

 Siダイレクトボンディング −− Siダイレクトボンディングを使って多数の材料を接合でき、粗さと平坦性の標準値に合致する表面を実現できる。ウェットケミカルもしくはプラズマ活性化で作られる親水性の表面は、吸着水間のファンデルワールス相互作用によって接続部に直ちに吸着される。次に接合とバッチ処理による熱アニールが、Si-O-Si共有結合の結合遷移に使われ、バルクSiと同程度の結合強度が得られる。Siダイレクトボンディングは、界面の原子レベルでの密着性が必要とされ、ユースポイントでの洗浄方法が量産においては必須である。 

 洗浄、活性化、位置合わせ、ボンディング機能を持つ最新のクラスター装置は、一時間当たり20枚のスループットを達成し、クラス1のミニエンバイアロンメント下に設置されている(図2)。

 熱圧縮ボンディング −− 熱圧縮ボンディングは、ガラスの溶解、共晶と拡散の3つの主なカテゴリーに分類される。  ガラスがボンディングで溶解する間、ガラスを溶かす温度以上で熱したとき、中間層の界面は圧力の影響のもとで流れ始める。ガラスは押し出し加工、スクリーン印刷、噴射もしくは沈殿法が採用されている。ガラスを溶解する材料の特性を改善する作業が続いていて、高真空封入のための共晶混合物と拡散ボンディングは厳しい競争下にある。低温でのボンディングと、鉛フリーに移行したガラス溶解材料の小型のボンディング枠の容易な利用に作業の焦点が当てられている。  
 構成物質から作られる二成分相は各溶質より低い融点を持つ中で、共晶接合は金属結合相をうまく利用できる。中間層としてメタルを使うボンディングの技法は、一般的に高真空に匹敵する密封状態を形成する(低い浸透性を持つ低いガス放出の材料)。

 拡散結合の特例である共晶接合は、基本的に比較的低い温度で形成され、強い金属間結合を実現する。2つの材料が拡散する時、共晶組成で非常に低い融点を持つ混合が生じる。いったん共晶が形成され、そして液体になり、反応が液体と固体間の界面の液相拡散の影響で促進される。

 固体の熱圧着は、合金が形成されるため、共晶接合と類似している。しかし、これらの反応は拡散の界面層を融解しない。固体結合において重要な点は、低温で固体相が変化する早い拡散係数を持つ領域を見つけ出すことである。この固体相は、組み立て時の構造的な安定性を実現する金属間化合物をほとんどの場合形成する。 

 拡散結合は熱圧着の一種であり、一般的に比較的低温で拡散係数が早い領域で活用できる。これは、たとえば金(Au)と銅(Cu)等の複数の材料で存在する。したがって、Au-Auと Cu-Cu結合を作ることが可能で、温度を動的に変えることで低温でのCu-Au結合も可能となる。これらのケースにおいて、界面は合金が作られていないで2つの溶質が混じり合っている。いくつかの応用では、これらの合金が脆いために拡散結合が金属間もしくは共晶合金の形成には望ましい。

 十分な温度バジェット(多くのガラスは500℃まで安定な状態で硬化している)、MOEMSデバイスの動作部周辺フレーム内のパッケージの安定性と中間層(ガラス、フリット、メタル)の配置等を想定して、熱圧着は一般的にMOEMS透明パッケージングに適切である。同等のボンディング方式よりコストが高いため、このタイプのパッケージはMOEMSではかなり珍しい。超微小漏れ量が要求される時、熱圧着方式は最上の選択肢である。

 接着結合 −− 大半のMOEMSパッケージングは、紫外線(UV)で硬化接着し、透過性の塗布膜を持ち、低誘電率である。接着接合方式の透明MOEMSパッケージングは、容易な応用力、低価格の材料、十分な接合強度、浸透性等の一般的な利点をもつ。

 真のWLPに必須である、リソを使用したパターニングで他の機能モジュール間との電気的配線を実現するため、MOEMSパッケージングで低誘電率の接着が注目されている。これはMOEMSの動作部周辺のボンディングフレームを安く作ることができる。 



図2 完全自動化のクラスター装置は、封入の間乾燥状態を維持するための不活性ガス環境管理の装置を有す


MOEMS用ウェーハレベル透明パッケージ

 光学等級の材料を使用したウェーハレベルボンディングは、CMOSイメージセンサーのパッケージングで1990年代に大きな進歩があった。透明パッケージ技術が開発され、急成長の民生機器市場、特に携帯電話のカメラ用チップで売り上げを急激に増やした。

 この領域で多くの主要なメーカーが透明パッケージの中に追加の機能を組み込み始めた。完全に集積化したカメラ用パッケージを実現するために、マイクロレンズ構造を集積して、その他のチップの上部に積層化する複数のガラスウェーハの技法は、現在いろいろな問題を抱えている。各マイクロレンズ構造の完全性の要求に対して、全体のウェーハ積層の位置合わせ精度と、低温ウェーハボンディングでのガラスウェーハ積層に生じる応力は、最初の完全集積化の光学カメラパッケージを携帯電話に実装するために改善しなければならない。

 これらすべての応用において、高い精度を持った位置合わせと、低温でのウェーハボンディング技法が必要とされる。これは通常、真空状態もしくは管理された雰囲気、温度、気圧下で固定された対のウェーハをボンディングする前に、中間層と分離した光学系の位置合わせ工程を熱もしくはUV硬化のエポキシを使って行う。エポキシの中間層は硬化前に特定の流量特性が表れるため、重要なプロセスとしてボンディング後の位置合わせ精度を整備しておくことである。スペーサーによって分離された光学系の位置合わせウェーハをしっかり固定することが重要だ。ボンドアライナーからウェーハボンディング装置へのプロセスの移行は、非常に正確に管理されなければならない。その他の課題として、透明キャップウェーハの平坦性の不足が上げられる。中間層の硬化プロセス後の位置合わせ精度を維持するために、装置はウェーハを十分に平坦にしなければならない。

 透明パッケージに対する代替のガラスウェーハの試みはすでに進行中である。特定の材料は一定の基板の厚みに薄化されると、十分に光学的透過性を持つ。これらの材料はダイレクトボンディング方式でボンドされ、優れた位置合わせの精度を示し、潜在的パッケージの応用を広げる。 

 Siと他のいくつかの材料に対して、ボンディング前のウェーハの低温乾燥が300℃以下の温度での結合強度を改善する(図2)。その他の解決策として、今のところ高性能透明ポリマーのウェーハを使用することである。この場合、結合は硬化可能な中間層の使用もしくは低温プラズマ活性化によって促進されるダイレクトポリマーボンディング方式によって生じる。低温乾燥での活性化は、室温に近い温度でダイレクトポリマーボンディングが可能になることで実証された。

 可動センサーとアクチュエータを持つMOEMSは、これらの部品の保護と正常な機能に特別な注意を払うことが必要である。UVで中間層を硬化もしくはダイレクトボンディング方式のための表面を活性化するモヂュールの上に、ボンドの位置合わせとウェーハボンディングモヂュールを集積化した全自動のクラスター装置は、封入時乾燥雰囲気を維持するための不活性ガス雰囲気を管理するユニットを備え付けている。

 動作デバイス部への中間層の接触を防ぐために、ボンディングフレームはスクリーン印刷もしくはマイクロコンタクト印刷を使ってこれらの部分を形成する。新規のクラスター装置はそのような前段階のプロセスモジュールを搭載している。特に壊れやすい可動タイプのMOEMSデバイスの動作部の汚染を防止するために、その他の共通的なやり方としては、インターポーザーのウェーハの使用があげられる。基本的には、それは第3のウェーハであり、MOEMSウェーハと蓋の間のパッケージに組み入れられる。そして第3のウェーハは、動作部周辺のボンディングフレームのウェーハレベルアレイの機能を持つ。通常、このウェーハは蓋のウェーハに最初に接合され、この積層部は光学的に位置合わせされMOEMSウェーハに接合される。Siインターポーザーとガラスの蓋を使用したとき、プロセスを簡略化した廉価な機械的に位置合わせをする陽極ボンド方式によって行うことができる。

 UV硬化をする中間層の接合後の位置合わせ精度は、硬化前の中間層接着のフローの特性により、一般的に3σで10µm範囲である。プラズマ支援溶解ボンディングのダイレクトボンディング方式において3σで1µm以下のボンド後の位置合わせ精度が、ウェーハ間で1つの顕微鏡を使うよりは位置合わせに2つの顕微鏡を使う新規の位置合わせ技術で問題なく達成している(図3)。第1顕微鏡は上部に置かれ、第2顕微鏡はウェーハ積層部の下部に置かれている。2個の顕微鏡は、各位置合わせによって調整した共通焦点面上に焦点が当てられる。各顕微鏡の対物レンズは、ウェーハ表面上の位置合わせ部に焦点を当てる。  


図3 ウェーハの位置合わせは、XとY移動は0.1 µmステップで増加しエンコード化したステージのモーターによる新規方式で行われる。Z軸の移動は最小で、3つのソフトで管理するスピンドルモーターで上下のウェーハ間の平坦性を保つ


まとめ
 WLPのような劇的な製造上のイノベーションが、MEMSデバイスに対して巨大なコスト低減の利益を生む。この適用によって民生電気機器マーケットでの成功を確実にする。
 MOEMSのパッケージは、電気的内部接続性、密封封入、微小な汚染からの保護、機械的応力の低減、吸着性の排除等のMEMSパッケージにおける従来の要求に加えて、個別センサーとアクチュエータの動作波長での光透過性が要求される。可動センサーとアクチュエータを持つMOEMSは、これらの部品の保護と正常な機能に特別の注意を払うことが必要である。

Herwig KirchbergerはオーストリーEV Group社ビジネス開発マネージャーで、世界各地のMEMSと光起電事業の責任を負う。2000年に応用物理のM.S.の学位をオーストリアTechnical University of Grazで取得。2007年にM.B.Aの学位をオーストリアUniversity of Kremsで取得



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