45nmノード技術によるマイクロプロセッサが2007年1月に発表され、CMOS製造プロセスへの新材料の時代が到来した。この発表で、プロセッサのトランジスタ性能を向上するHfベースのHigh-k絶縁膜が新しいメタルゲート電極材料とともに紹介された。この変化で、半導体業界は、Si、O、N、Cのような主要元素には属さない周期表内の元素の調査に大きく踏み出した。Si半導体の恒久的な性能向上を達成するためには微細化だけでは不十分であることが今や常識となっている。進歩していくためには、周期表内の新しい材料も更に必要であり、これが性能向上に大きな役割を果たすことになる。
もちろん、この変化は一晩にして起こったわけではない。トランジスタのゲート絶縁膜材料としてSiO2、SiONへの置き換えが研究されていたのは2002年以前の話だ。国際半導体技術ロードマップ(ITRS:International Technology Roadmap for Semiconductors)の1999年版ではIC製造プロセスでの新材料がハイライトだった。当時、厚さ2nm未満のゲート酸化膜ではリーク電流が高くなる弱点が明らかになり、より厚いゲート絶縁膜でリーク電流を抑えられる高誘電率の材料が必要であることが分かってきていた。Wallace氏とWilk氏1)は、誘電率が高く、熱力学的安定性やゲート電極への適合性、界面安定性などに優れたHigh-k材料の選択にあたっての製造上の課題に注目した。元素周期表はScholm氏とHaeni氏2)によって更に調べられ、代替のゲート絶縁酸化物や窒化物、Hf、ジルコニウム(Zr)、希土類元素の化合物などの材料を選択する熱力学的な手法が提案された。
新しい材料の探索はHigh-kゲート絶縁膜やメタルゲートに留まらない。潜在的なアプリケーションはキャパシタ絶縁膜、配線層、金属端子やプラグに及ぶ。化学と材料科学の仲立ちをしようとする化学者や技術者には千載一遇のチャンスである。図1の周期表3)は、大学や半導体メーカー、製造装置メーカー、材料メーカーの多岐にわたる協力によってさまざまな開発段階で研究された一連の元素を示している。これらの協力関係の重要性は強調しすぎることはない。それぞれのパートナーはかなりの投資を必要とする。
MAGAZINE ARTICLES
このページをホームページに登録Cover Story
新素材時代の到来:
製造プロセスに新しい展開
[2008年02月号]High-k ゲート絶縁膜のALD(Atomic Layer Deposition)やCVD(Chemical Vapor Deposition)による成膜に適したプリカーサやメタルゲートプリカーサを見つけるために、現在さまざまな材料の性質や特性が比較されている状況だ。32nmノードでは、揮発性や供給手段、純度などの問題が重要になってくる。
米SAFC Hitech社
新材料のインテグレーションには注意深いリスクマネージメントが必要だ
(出典:米SAFC Hitech社)
本稿では、ゲート絶縁膜やメタルゲート、コンデンサ、電極、バリア層とシード層、メタル配線にわたる用途で使用される可能性がある数多くの材料の新しいロードマップについて論じる。最も重要なのは今後のCVDとALD用の材料が出現したことである。設計から成膜までのプリカーサのさまざまな側面について、量産向けに選んだ実際の例を提示しながら議論したい。適正な化学的性質や組成に作用し、これらの分子をチップに載せるための革新的な技術が必要だろう。正しい方向へ向けて開発をし続けるためには、エンドユーザーや、学術機関、業界の間での早期の取り組みが急務だ。
45nmへの動き
図1 周期表の多くの元素が、ナノエレクトロニクスデバイスの電気的、機械的、物理的要求を満たすと考えられている
新しい材料の導入には適切な性質を持つ一連の新たな分子プリカーサが必要だ。CVDもALDもチップ上への新しい材料の蒸着を実現する技術と認識されている。微細化が進むとALDがより有利になる。これは原子レベルの厚さと、広範な平面構造上での均一性、非平面構造上での共形不変性(Conformality)、製造プロセス全般での制御性を持つレイヤを実現できる。ALDは、均一性と共形な(Conformal)厚みが必要なところでの3次元トランジスタの出現時に画期的な役割を果たすと考えられる。
ALDに適した分子プリカーサの要件は次の通り。
・蒸着温度において熱的安定性があること
・ある程度の揮発性を持ち、排出温度において出来れば50mTorr以上であること
・酸化物、窒化物、炭化物か、メタルそのものへの還元を均一に形成する正しい化学的性質を持つこと
・プロセス要求の範囲内で経済的に許容できること
ALDは、現在主流となっているDRAM製造とは異なるレベルのものが求められている。Al2O3、HfO2、ZrO2などの主要なコンデンサ材料では、最適な成膜技術としてALDが使用されている。ゲート絶縁膜にはALDが採用され始めており、フラッシュメモリー技術がその後に続く。
図2 HfとZrの新手のプリカーサは、ALDによるHf酸化物の蒸着に現在使用されているアミド類のTDMAHやTEMAHの代替となる可能性がある
図3 HfD-02およびHf-D04プリカーサでは、成膜されたHf酸化膜中の不純物レベルが最低レベルになった
研究者はさらに誘電率の高い材料を見つけるために既に周期表の調査範囲を広げている。Zr酸化物やZrシリケート、希土類元素をドープしたHf酸化物やZr酸化物、希土類元素の酸化物そのものなどである。この調査の目的は理想的なALDプリカーサを見つけるだけでなく、後続プロセス後のゲート酸化物の界面安定性やインテグリティなどの問題を理解することにある。最近、(3−イソプロピルシクロペンタジエニル)ランタンとZrD-04(図2)を使用したLaジルコン酸塩の液体導入ALDやCVDによる成膜が注目され、本稿でも述べた問題を取り上げている。7)これらの希土類金属酸化物には32nmノードで採用されるものがあるだろう。CVD/ALDに適した希土類元素酸化物プリカーサは次のような一般的カテゴリーに属する。すなわち、アルコキシド架橋錯体、β-ジケトナート、β-ケトイミナート、代替シクロペンタジエニル、トリスシリルアミド、アミジナートおよびピラゾレートである。
これらのプリカーサ体系が複雑になると、それらの揮発性、熱安定性が課題になる。気体(例えばシラン)から液体(例えばテトラエトキシシランTEOS)へ、揮発性の低い固体(例えば希土類分子)へというプリカーサの展開には問題がなくもない。既に業界は直接液体導入DLI(Direct Liquid Injection)や溶液気化技術の構想を温めはじめた。もちろん、これには高純度、低残留物のプリカーサの開発が必須である。
適切なメタルゲート材料を見つけるための調査も続けられている。米Intel社と米IBM社が45nmノードで新たなメタルゲート材料を使用すると発表したが、この傾向は32nmノードでも続くだろう。次世代のメタルゲート電極材料としてRuやPt、遷移金属窒化物や炭化物などが使われる可能性もある。どの材料であれ、例えばアニールプロセスで生じる1000℃程度の高温への耐久性が必要である。CoやNi、それらのSi化合物によるALDプリカーサも大きな注目を集め始めている。
図4 理想的なRuプリカーサを高蒸気圧の液体として供給すること可能である
図5 最も有望ないくつかのRuプリカーサ。Ruを中心にアルキル基が直接結合された構造で、これがALDプロセスの助けになる ショルダータイトル
RuやPt、Co、Ni、その他の貴金属などの揮発性金属は、シクロペンタジエニル基やカルボニル基、アミジナート基を配位結合した構成をとる。所望の特性が得られない場合には、機能基が付加されるか付け替えられる。図4は、高蒸気圧を持つ液体プリカーサを作るためのプリカーサ開発例を示している。揮発性が最大で、理想的な熱安定性を持つ新たに開発されたRuプリカーサを図5に示す。Ru金属を中心にアルキル基を直接結合することによってALDプロセスが助長される。
材料メーカーの独走は不可能で、半導体メーカーや製造装置メーカーを早い段階で開発サイクルに引き入れようとしている。新材料の基本的な性質を理解するために、学術機関とのさまざまな協力関係が結ばれている。
最後に、これらの分子は、複雑さや入手可能性、それに原料費の心配も相まって、従来のプリカーサに比べて経済的な実現性が乏しいように見えるかもしれない。その価値はより微細な加工寸法や付加性能に現れるだろう。そしてそれによってこれらのプリカーサが効果的に使われるようになる。すべての場合において、開発者やユーザーはCOO(Cost-of-Ownership)モデルによって、これらの材料によってもたらされる価値を算定することが可能になるだろう。疑いなく、材料サプライチェーンの全レベル(R&Dから大量生産まで)の経験豊富な企業や、アプリケーション知識ベース、革新的な供給ソリューションが、この技術を実現させるパートナーになるだろう。
参考文献
2. D. Schlom and J. Haeni, “A Thermodynamic Approach to Selecting Alternative Gate Dielectrics,” MRS Bulletin, March 2002, p. 198.
3. T.N. Theis, “Performance Improvement No Longer Possible by Scaling
Alone,” SMC Conf., Jan. 12, 2006.
4. J. Niinisto et al., “Atomic Layer Deposition of HfO2 Thin Films Exploiting Novel Cyclopentadienyl Precursors at High Temperature,” Chem. Mat., 2007, Vol. 19, p. 3319.
5. K. Kukli et al., “Atomic Layer Deposition of ZrO2 and HfO2 on Deep Trenched and Planar Silicon,” Microelec. Eng., 2007, Vol. 84, p. 2010.
6. P. Raisanen, D. Li, S.H. Jung, and S. Marcus, “Process and Physical Characterization of ZrO2 Films Deposited With ALD/PEALD Using Different Precursors,” ALD 2007.
7. A.C. Jones et al., “Deposition of Lanthanum Zirconium Oxide High-k Films by Liquid Injection ALD and MOCVD,” CVD 2007 (submitted).
8. R. Kanjolia, D. Weyburne, R. Odedra, N. Boag and S. Ganguli, “Atomic Layer
Deposition of Ruthenium
SI Japan テクニカルセミナー
EVENTS
-
Industrial Design セミナー
-モノづくりにおける意匠設計とそのデータ活用-
2008年07月31日ー2007年07月31日
虎ノ門パストラルホテル(東京) -
第19回マイクロマシン/MEMS展
2008年07月30日ー2007年08月01日
東京ビックサイト(東京) -
PVJapan 2008
2008年07月30日ー2007年08月01日
東京ビックサイト(東京)











