全般的な設備投資の削減は量産工場の建設プロジェクトや半導体製造装置へも直接影響を及ぼしている。
量産工場建設への設備投資は将来稼動する能力の一つの指針になる。これらの投資の成果は普通、その量産工場の生産が立ち上がり始める1~2年後に現れる。
2007年に前年比8%で伸びた工場建設への設備投資は、2008年には前年比1桁減になるだろう(図1)。半導体製造装置への設備投資はさらに大きく減少する可能性がある。すなわち2007年に前年比約8~10%伸びた設備投資額が、2008年には前年比−7から−10%減少する(図2)。
日本、台湾、韓国が2007年、2008年ともに製造装置への設備投資額を牛耳る地域となる。
製造装置への設備投資額は殆どの地域で減少傾向にあるが、いくつかの地域で増加する模様だ。2007年には台湾と中国が新規あるいは既存の量産工場への製造装置導入で前年比最も高い成長を見せた(それぞれ約50%と約40%)。2008年には東南アジアが製造装置への設備投資で最も高い約30%の伸びを示すと見られる。続いて欧州および中東(イスラエルを含む)が約16%伸びるだろう。
MAGAZINE ARTICLES
このページをホームページに登録Features
半導体メーカー設備投資動向:
2008年は先細りか
[2008年03月号]
300mmウェーハを月産20万枚生産可能な90~100億ドル規模の超大型量産工場“モンスターファブ”の登場で、“メガファブ”の影も間もなく薄らぐことになるだろう。フラッシュメモリーを主とした半導体メモリーの需要増加が見込まれるため、2008年の設備投資の冷え込みでこの傾向が弱まることはない。
低価格によっても需要を加速するなかで、追随できない企業も出てきている。例えば、2007年9月には東芝がNAND型フラッシュメモリーの需要に応えることができず、2007年12月まで品切れ状態だったと伝えられている。同社はNAND型フラッシュメモリーの需要はビット成長率で見て2008年は120%、2009年は115%と予測している。販売価格の低さは喜ばしくないが、同社は急上昇する需要を満たすために大規模な生産設備の立ち上げを計画している。さらに韓国でもDRAMからNAND型フラッシュメモリーへ生産設備のシフトを計画している半導体メーカーが複数ある。
これに加えて“メガファブ”と呼ばれる大型の量産工場も市場を刺激している。なかにはモンスターレベルの規模に達するさらに大型の量産工場もある。既に下がり気味の価格状況のなかで市場シェアを確保するために、平均小売価格(ASP:Average Selling Price)の下落がさらに加速することを危惧する業界関係者も多い。供給過剰への懸念が表面化している。例えば、米iSuppli社は「過剰供給がメモリー市場を泥沼に追いやっている」と先ごろ報告している。
市場が大損失をもたらす
設備投資を削減したり、生産性向上やコスト削減を実現するための改革に力を入れている企業もある一方で、大規模なリストラを発表している企業もある。つい最近、韓国Samsung Electronics社は1630人、米Conexant社は従業員の20%、米Micron Technology社は約10%のレイオフを行なった。
多くの企業は2008年の設備投資の大幅削減を発表している。例えば、台湾ProMOS社は18億ドルから8億ドルに設備投資額を削減するようだ。台湾のファウンドリUMC社、台湾TSMC社は大幅削減を表明している。また、独Qimonda社は2007年度の計画よりも設備投資が下回ったことを認め、2008年度の設備投資は2007年度をさらに下回る見込みであると言及した。
しかし、すべての企業が設備投資を削減しようとしているわけではない。前にも触れたように、東芝は急増する需要に合わせて巨大設備の立ち上げを計画している。Samsungは伝統的に他社が支出の削減を強いられる下降局面で設備投資を増加させてきた。同社は2007年当初に発表した米Austinの工場を含む設備投資計画を69億ドルから一気に83億5000万ドルに増額した。同社よりも規模は小さいが、台湾Winbond社も設備投資額を2007年の2億4500万ドルから2008年には5億8700万ドルに倍増する。
量産工場の建設
図1 2008年の量産工場建設への設備投資額を2007年よりも低く計画する企業が多い
(出典:Fab Capacity Report Interim、2007年11月)
図2 量産工場への2008年の製造装置導入は2007年よりも大幅に鈍化するだろう
(出典:Fab Capacity Report Interim、2007年11月)
設備投資の変化が生産能力に及ぼす影響
表 生産能力の地域別向上率(2000 年~ 2007 年)
約24の量産工場の建設が2008年に始まる。それらの生産能力は最高で200mmウェーハ換算、月産23万5000枚となる。2009年にはこれらの量産工場での生産がいくつか立ち上がり始めるだろう。
世界規模では、2007年には生産能力がほぼ20%向上したが、2008年は11%増に留まるだろう。設備導入済みの量産工場の全生産能力のうち、メモリーに特化した量産工場は2007年の約38%から2008年には41%以上にまで増すだろう。日本は2007年、2008年とも設備導入済みの生産能力で主導的位置を占め、各年、200mmウェーハ換算で月産350万枚、360万枚を生産可能である。台湾と韓国がそれに続き、2007年にはそれぞれ月産約250万枚、260万枚、2008年には月産280万枚以上、270万枚である。米国は第4番目の位置にあり、2007年の設置済み生産能力が月産230万枚以上、2008年には月産260万枚以上と予測される。
図3、図4は、2000年および2007年の地域別の生産能力シェアを示している。2000年には日本が全生産能力の約1/3を占めていた。しかしその後の7年間は日本の生産能力向上が他の地域に比べて緩やかだったため、現在は全生産能力の約1/4に留まっている。2000年以来、韓国の生産能力は約330%向上し、設備導入済みの生産能力では現在第2位を占める。それに続いて台湾が240%の成長を見せ、現在は全世界の18%のシェアを占める。中国の生産能力は現時点ではまだ相対的に低いが、過去7年間の伸びでは最高の800%以上の値である(表)。
シンガポールが300mm ウェーハでは力を見せつける
ロシアが眠りから覚め、 ブラジルも浮上
市場の状況に立ち向かう ファウンドリ
メモリー量産工場が市場を活気づける
牙を剥く“モンスターファブ”
図5 2008年には量産工場の生産能力が11%向上する見込みである
(出典:Fab Capacity Report Interim、2007年11月)
図6 平均的工場規模の成長
(出典:Fab Capacity Report Interim、2007年11月)
量産工場の規模がどんどん大きくなってきており、半導体設備が導入されると、計画されている半数以下の300mmウェーハ量産工場(73工場)だけで200mmウェーハ量産工場すべて(182工場)を合計した生産能力を上回ることになる。2008年には300mmウェーハ工場の生産能力が200mmウェーハ工場の生産能力を上回る見込みだ(<b>図5</b>)。 例えばSamsungとHynixは、両社の300mmウェーハのメモリー量産工場の多くで月産8万〜11万枚の生産能力を立ち上げた(300mmウェーハ換算)。フラッシュアライアンスは月産20万枚以上(200mmウェーハ換算では月産45万枚)の生産能力を持つこれまでで最大の量産工場を建設している。これらの工場のコストはどちらも約90~100億ドルと見られ、生産能力もコストも莫大な値である。 300mmウェーハ工場の生産の立ち上げは非常に早い。<b>図6</b>は全生産高を工場数で割った生産能力比を200mmウェーハ換算で示している。300mmウェーハは立ち上げと同時に生産能力が増加し、生産能力が増加している。 最初の300mmウェーハ工場はドイツのドレスデンのSC300で、独Infineon Technologies社と米Motorola社のジョイントベンチャーが2000年に立ち上げた。2001年にはさらに4つの工場が立ち上がった。すなわちIntelのD1C、ルネサステクノロジの那珂2-1F、UMCのFab12A、TSMCのFab12 Phase1である。 しばらくの間、300mmウェーハ工場は“メガファブ”と呼ばれ、その多くはメモリーチップ生産のために建てられた。それらが一層大きくなるにつれ、過去のメガファブは“モンスターファブ”によって陰が薄くなってくる。例えば、従来の月産2万~3万枚(300mmウェーハ換算)の300mm工場のコストは30~40億ドルだった。この“良き時代”は終わり、半導体産業はそのコストが90億~100億ドルに達する月産20万枚以上(300mm換算)という大量生産時代に入った。メモリー(主にフラッシュメモリー)の需要の増加が見込まれるため、この傾向は2008年の設備投資額が鈍化しても変わらないだろう。 これで市場競争は非常に激しくなる。最初に来るものが勝つ。もしメガファブの新しい世代であるモンスターファブが過剰供給に陥ると、半導体チップのASPの下落がさらに加速することも考えられる。 我々の見方では、2008年の量産工場建設プロジェクトおよび半導体製造設備導入への投資額は鈍化すると見ているが、これは変わる可能性もある。より成熟した半導体業界が市場の改善のサインを見逃さずに以前よりも迅速な対応を見せるかもしれない。
SI Japan テクニカルセミナー
-
Semiconductor International日本版
第21回テクニカルセミナー
『太陽電池を輝かせる製造技術~究極のエコ技術の現在と未来~』
-
Semiconductor International日本版
第20回テクニカルセミナー
『MEMS ルネッサンス』
-
Semiconductor International日本版
第19回テクニカルセミナー
「32nmを描くリソグラフィの選択肢
?Double Patterningか?直描か?」
セミナー関連記事はこちらから -
Semiconductor International日本版
第18回テクニカルセミナー
「DRAM 1ドル時代の量産技術
?装置とプロセスをどう制御するのか??」
関連記事はこちらから
EVENTS
-
第1回アナログセミナー「アナログICを選ぶ、使う」
2008年12月03日ー2007年12月03日
東京コンファレンスセンター・品川(東京・品川) -
航空宇宙産業技術展2008(AITEC 2008)
2008年11月27日ー2007年11月29日
名古屋市国際展示場(ポートメッセ名古屋) -
計測展2008 OSAKA
2008年11月26日ー2007年11月28日
大阪国際会議場(グランキューブ大阪)










